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その後、学園の初等部に入学したウォルターは、すっかり顔の変わったアンジェリカに出会う。
(アンジェリカ! こんな顔になってしまって……魔法って、本当だったんだ)
可哀想なアンジェリカは友達もおらず一人ぼっちだった。
(よし、僕がアンジェリカの唯一の友達になろう。アンジェリカが僕だけを頼ってくるようにしよう。アンジェリカの性格に惹かれる奴がいたらいけないから、誰とも話さないようにずっと見張っておこう。そうすれば、彼女は僕のものになる)
絶対に男たちの目に止まらないよう、目立つことは一切禁じた。次第に、怯えた目をするようになったアンジェリカ。それが楽しくて執拗に虐めてしまった。あの醜い顔で怯えられると、なぜか楽しくなるのだ。
(アンジェリカをバカにしている奴ら、彼女の魔法が解けたら悔しがるだろうなあ。いい気味だ。その時にはもう彼女は僕のものなんだから)
やがて最終学年になり、王太子は予想通りアンジェリカを選ばず、彼女の行き遅れは決まりとなった。
(あと少しだ。金をチラつかせたから、公爵も渋々ながらも婚約を受けるだろう。あと少しで彼女は僕のものに)
その頃にはウォルターは日常的にかなりのしんどさを感じるようになっていた。ベッドから起き上がれない日も多く、いくら寝ても疲れが取れない。
(だがこんな思いもあとちょっとだ。彼女の誕生日が来れば、僕はまた以前の健康な身体を取り戻し、美しくなった彼女と幸せに暮らすんだ)
ところがある日ーーヴィンセントが現れた。腕を捻り上げられ、何も抵抗出来なかった屈辱。アンジェリカを奪われる絶望。死への恐怖。ウォルターはその日以降ベッドから出ることは出来なかった。
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