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 宥めるようにその背中をやさしく撫でてやると、アズールは渋々といったようすで羽を閉じた。自分の顔に穏やかな笑みが浮かんでいることを、ヒースは気づかない。そのようすにオースティンがわずかに驚いたように目を瞠ったことも。 「そのもう一人って、さっきお前が話していた望みと関係しているのか?」 「どうしてそれを……っ!」  突然声を荒げたヒースに、アズールがぐわっと羽を広げた。 「そんなに驚くことじゃない。さっきお前がもう一人と言った姿を見て、何となくそう思っただけだよ。ただの勘だ」  何でもないようすで料理を食べはじめるオースティンを前に、ヒースは唇を噛みうつむいた。先ほどアルドからも、お前は何でも顔に出しすぎると忠告されたばかりなのに。もっと慎重にならなければと、ヒースは自分に言い聞かせる。 「アズール」  名前をささやき、甘えるように頭を手のひらに擦りつけるアズールをやさしく撫でてやると、大空へと放った。 「人に慣れていないと聞いても、ちょっと信じられないなあ」  感心したようすで大空を舞うアズールを眺めるオースティンに悪意があるは思えない。だが油断はできない。人は見かけにはよらないのだから。ヒースがそう考えたときだ。 「”石さまが降り立つ国は、未来永劫栄える”か」  何気なくオースティンが呟いた言葉に、ヒースはぎくりとした。食い入るようにその顔を見るヒースに、オースティンは「何だ?」と目を瞬いた。 「その言葉、あんたはどうして知っている?」 「この国で古くから信じられている伝承だろう。ほら、さっき会場で見なかったか? 長い銀の髪をした”石さま”と呼ばれる少年のことだ」 「その言葉の意味をあんたは知っているのか?」  この男が何かを知っているのなら、少しでも情報を得たい。
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