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 ――ヒースとシュイはまるでジュンシとダーチみたいだ。いいなあ……。  幸いヒースのけがは捻挫程度ですんだが、大人たちに怒られているヒースを見て、タイシはどこかうらやましそうな顔で呟いた。  双子のジュンシとダーチはいつも一緒で、言葉にしなくても互いの気持ちがわかるようなところがあった。それだけではない、まるで魂の一部を共有するかのように通じ合っているように思えた。実際ジュンシのほうがけがをしたのに、なぜかしばらくしてダーチも同じ場所をけがするなんてこともあった。  血はつながっていないが、幼いころから一緒に育ったということならヒースとシュイも同じだ。シュイがどこからきたのかなんて関係ない。ヒースにとって、シュイは大切な家族も同然だった。  ヒースはそうだ、と思い出した。 「この間きのこが多く自生している場所を見つけたんだ。今度シュイを連れていくよ」  ヒースがシュイと並んで話をしている背後から、あーあ、とため息を吐くような声が聞こえてきた。ヒースが何だ、と思って振り返ると、先ほどまで村祭りの話で盛り上がっていた少年たちがヒースたちを見て、納得するような表情でうなずき合っていた。 「村で一番人気のナンサが今年は誰かから花を受け取るかもしれないって盛り上がってるのに、肝心のヒースの関心事といったらきのこ汁のこととシュイのことだもんなあ」 「仕方ないよ、ヒースとシュイは昔からいつも一緒だもの」 「ヒースにはシュイがいるからナンサの出番はないかあ」 「だとしたら、ほかのやつにもチャンスがあるかもな」  いったい何を言われているのかわからないヒースとシュイは、顔を見合わせる。 「何言ってんだ、誰もきのこ汁の話なんかしてないぞ」  真面目な顔で問い返したヒースに、少年たちは毒気を抜かれたように吹き出した。 「お腹が空いた。早く村に戻ろうぜ」 「お前がきのこ汁の話なんかするからだろう」 「ヒース、次は絶対に負けないからな!」  少年たちが話をしているのを、隣を歩くシュイがにこにこしながら聞いている。おとなしくて気持ちのやさしいシュイは、普段は育て親でもある老婆の仕事を手伝っている。ヒースたちのように稽古に励んで、いつか守り人になりたいという気持ちもないようだ。  日が暮れはじめた山の空気は澄んで、一気に氷のようになる。濃紺の空に星が瞬いていた。村へ近づくにつれ、ヒースは普段は静かな村のようすがいつもと違うことに気がついた。 「あれ、村長たちだ。一緒にいるのは誰だろう」  タイシの声に、ジュンシとダーチが顔を見合わせる。
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