残業

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「俺は、ここに引っ越してきて3年以上経つけど、この家に来た女性は、家族以外では木下さんだけだよ!」 「------えっ?」 藤堂さんは、何故か恥ずかしそうにしながら、また私の手を掴んで歩き出した。 少し怒っているようにも見える。 少し歩くと、テラス席もあるコーヒーとホットドックのお店があった。 テラス席は、風がちょうど気持ちよさそうだ。 「木下さん、飲み物は何にする?」 「----では、カフェオレでお願いしても良いですか?」 深いカフェオレボウルとホットドック。 ホットドックにはチーズを掛けてくれている。 藤堂さんは、ブラックコーヒーとシンプルなホットドックだ。 「頂きます!」 藤堂さんと手を合わせて、“いただきます”を言うなんて夢のようだ。 ホットドックのチーズがトロっとしていて、堪らなく美味しい。 トロトロのチーズが口の横にこぼれた。 紙ナプキンを私が掴むより早く、藤堂さんの指が私の口の横を拭った。 「木下さんは、本当に子供みたいだね。会社に居る時と全然違う。」 そして藤堂さんは、ペロッと指に付いていたチーズを食べてしまった。 顔が一気に真っ赤になるのが分かる。 「子供ですみません。ご迷惑ばかりで…」 「俺は子供っぽいところも良いと思うよ。面倒見たり、守ってあげたくなるけどね。」 藤堂さんは女性に対して、慣れているのかも知れないけれど、こんなに甘い言葉を言われると、さらに顔がどんどん赤くなる。
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