彼女になる

1/8
前へ
/111ページ
次へ

彼女になる

今日は金曜日、なぜか藤堂さんは金曜日も家に来るよう言ってくれたが、本当に行って良いのか考えてしまう。 冗談だったと言われたら恥ずかしい。 そんなことを考えていると、藤堂さんからL●NEが届いた。 なぜかドクリと心臓が鳴る。 『コーヒーカップ用意してあるよ。会社は何時ころ出られそう?』 冗談では無かったようだ。 真理子にいろいろ言われた所為か、L●NEを見るだけで、顔が熱くなる。 恋人とか付き合うとか、真理子がある筈の無い事ばかり言うからだ。 『19時までには会社出られそうです。』 『了解。会社出たとこで待ってる。』 結局、帰りに待ち合わせをすることにした。 オフィスを時間差で出た私達は、会社を出てすぐのところで待ち合わせをする。 藤堂さんと秘密の行動をしているようで嬉しくなる。 私が藤堂さんと待ち合わせなんて---信じられない-----。 今日はどこかで呑んでから、藤堂さんの家に行く予定みたいだ。 予定はしっかり計画済みのようだ。 さすが仕事のできる人は、プライベートも用意周到だ。 藤堂さんは、個室のある小料理屋の予約をしてくれていた。 金曜日はどのお店も混んでいるので、個室のあるお店を選んでくれたのだ。 「お疲れさまー。乾杯!」 私達は、グラスをコツンと当てて乾杯をする。 ここは創作料理が有名で、次々と斬新で美味しそうな和食が出された。 どれも美味しく、口元が緩む。 「木下さん、美味しそうに食べるね。可愛い。」 藤堂さんの言葉は、本当に心臓に悪い。 顔が急に熱くなる。 「やめてください。私を揶揄ってますか?」 藤堂さんは、ジッと真面目な顔になり私を見た。 何か悪いことを言ってしまったのだろうか。 「木下さん、俺と付き合ってくれませんか?」 「---付き合うとは?」 付き合うという言葉が、どういう意味で言っているのか分からない。 「俺の恋人になって欲しい」 「------------はっ?」 なぜこんなに素敵な藤堂さんが、私なんかを恋人にと言ってくれるのだろう。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

300人が本棚に入れています
本棚に追加