彼女になる

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「あまりにも、突然すぎたね。ゴメン…」 固まっている私に藤堂さんは、気まずそうにしている。 頬が赤くなる藤堂さんが、少し可愛いと思ってしまった。 「謝らないでください。とても嬉しいのですが…信じられなくて…藤堂さんなら女性も選び放題なのに…」 藤堂さんは大きく息を吸うとハ~とため息をついた。 「本当に君は、俺を誤解しているよね…」 藤堂さんがモテるのは事実だし、何を誤解しているのか分からない。 いつも周りには、華やかで綺麗な女性が沢山いるように思う。 少し呆れたように、私をじっと睨んだ。 「確かに俺に言い寄ってくる女性はいるかも知れない。でも俺自身じゃなくて、御曹司だからとか、見た目とか…そんな肩書きが欲しい女性ばかりだよ。」 私は藤堂さんが、そんな事を気にしていたとは驚いた。 全てに恵まれている藤堂さんが、そんなことを感じていたとは… 確かに、藤堂さんは見た目は眉目秀麗だし、御曹司だし、そこに惹かれる女性は沢山いるだろう。 「木下さん、君は以前から他の女性達とは違っていたよね。」 「----えっ?」 「俺に気づかれないように、仕事をフォローしてくれたり、暑い日には俺が席を外している間に冷たいお茶を置いてくれたり…ありがとう…君だって分かっていたよ。」 藤堂さんの言葉に驚いた。確かに藤堂さんに気が付かれないように、データを直しておいたことがあった。お茶も本人に気づいてもらおうとは思っていなかった。 藤堂さんがお茶を飲んでくれれば、それで十分嬉しかったのだ。 「藤堂さん、でも私なんて地味だし…一緒に居ても、釣り合わないですよね…」 「俺は君を地味だなんて、思ったことは無いよ。控えめだし…可愛いよ…」 何が起きてしまったのだろう。 頭が追い付かない…
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