残業

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醤油ラーメンが運ばれてきた。 ラーメンの汁は、澄んだ薄茶色。叉焼、シナチクとシンプルな具が乗っている。 私の好きなタイプのラーメンで、美味しそうだ。 思わず口元が緩んでしまう。 「木下さん、このラーメンの見た目は合格みたいだね。」 「…はい。とても美味しそうです。」 ラーメンを少し控えめにすすってみると、鰹節の香が口の中に広がる。 私の好きな、ドストライクな味だ。 「俺は、ここのラーメン2回目なんだけど、美味いよな。」 このラーメンも美味しいが、藤堂さんと一緒に食べたラーメンだと思うと、さらに美味しく感じてしまう。 ラーメンの汁まで全部完食。 大満足だ。 ラーメン屋から出て私達は歩き出した。 藤堂さんの家までは、徒歩で15分くらいだそうだ。 こんな大都会に住めるなんて、やはり世界が違う人なのだと感じてしまう。 今日は東京でも星が綺麗に見える。 「…っあ、今日は満月みたいですね…」 空には大きな月がまん丸になっていた。 藤堂さんはクスクスといきなり笑い出した。 「木下さんと一緒にいると、なんか楽しいね。毎日同じ道を歩いているのに、違う景色に見えるよ…」 これは褒められているのか、馬鹿にされているのか分からないが、藤堂さんと笑いながら歩けるなんて、私にとって夢のようなことだ。 夢なのかも知れないと思ってしまう。
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