残業

7/11

273人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
ピピピピピピ---------- 聞き慣れた携帯のアラームが鳴った。 目を開けると、見慣れない天井が見えた。 (…あれっここどこだっけ?…) 肩に少し重みを感じて、横を見ると----- (-------------------な----な----なぜ!!--------------) 隣には藤堂さんが寝ていた。 肩の重みは、藤堂さんの腕が肩に置かれているからだ。 朝の回らない頭を、頑張って働かせて昨日のことを思い出してみる。 確か、藤堂さんの家にお邪魔して、ワインを飲んだところまでは覚えている。 ------ということは!! 恐らく私は、ワインを飲んでそのまま寝てしまったのだろう。 まだ寝ている藤堂さんの顔を、もう一度見てしまう。 長い睫毛に、形の良い高い鼻、少し薄めの唇。 こんなにも綺麗な顔の男性がいるのだろうか。 思わずじっと見惚れていると、いきなりパチッと藤堂さんが目を開けた。 「-----あっ---」 慌てて声を出してしまった。 「----おはよう、木下さん。」 「お---おはよう---ございます。たぶん、私はすごくご迷惑かけたみたいで…」 藤堂さんはクスッと笑って私の頬に優しく触れた。 顔が熱くなり、真っ赤になっているのが分かる。 「昨日の木下さんは、すごく大胆で可愛かったよ---」 その言葉に、私は何をしてしまったのかと、不安になった。 「あの---私は、何をしたのでしょうか?」 「木下さんは、ワインを飲みながら、その場で寝てしまったので、ベッドまで運んだんだ。」 「そ---それだけですか?」 藤堂さんはクスクスと笑い出したので、恐らくそれ以外にも、何かしてしまったことは確実だ。 聞くのが恐い。 「ベッドから離れようとしたら、一人では寝られないから、抱っこしてくれって離してもらえなくてね…甘えて可愛かったよ。」 何ということを藤堂さんにしてしまったのだろう。 穴があったら入りたい、まさに今そんな気持ちだ。 そして、気づいたことがある。 下着はつけたままだが、着ていた服は綺麗にハンガーにかけてある。 恐らく今着ているのは、藤堂さんのシャツだろう…ということは… 藤堂さんが着替えさせてくれたことに、間違いない 恥ずかしくて、もうどうして良いのか分からず、パニックになりそうだ。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

273人が本棚に入れています
本棚に追加