エピローグ

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「事件がテレビで流れた日の夜にね、母親から電話がきたんです。あの本村さんって、おじいちゃん家のお向かいに住んでいた本村さんよって」 「えっ!知り合いだったの?」 カーテンを見つめていた明香里は、体ごと智花に顔を向けた。 「うちの母、私を産んだ後体調を崩したらしくて、私が3つになるまで母の実家で暮らしてたんです。母と父と私の3人で、千葉の山間の町にあるおじいちゃんの家で。そのお向かいに住んでいたのがこの本村さん一家だったんです。私は全然覚えてないけど・・亡くなったおじいさんとおばあさん、私のこととてもかわいがってくれてたんですって。そんな縁のあった人たちが私のものすごく近くに住んでいたなんて・・ニュースを見て母はものすごく驚いたみたい」  まさかその事件の発見者が自分の娘だなどと聞いたら、卒倒するんじゃないだろうか。どれほど縁が繋がっていたのだろうと、胸の詰まる思いのほうが強いだろうか・・ 「きっと・・おじいさんとおばあさんは智花ちゃんに気がついたんだよ、思い出したんだよ、あのお向かいの智花ちゃんだって。だから必死になって智花ちゃんに視線を送ったんだよ、私達ここにいるのよって」  うん、と頷いた智花は黄色いテープギリギリまで体を寄せて、あのレースのカーテンのかかるガラス戸を見つめた。
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