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先生としてはそこは慣れているのだろう。
『はい、逃げない逃げない』と言いながら手を止めることはない。
終わりのあたりはもう、体は楽なのにぐったりだ。
そんな終盤、仕上げで背中を伸ばされる。
左肩と右腰という対角線に伸ばすのだが、これは大変気持ち良かった。
思わず、「あう~」、「ふにゅう~」と押せば鳴る袋のように声が出る。
そして本当の最後に腕の筋。
残念ながらこれは痛かった。
それでもまだ『うぎっ』ぐらいで我慢できる痛さだった。だからつい、しゃべる余裕ができた口が素直な感想をもらしたのだ。
「さっき背中を伸ばされてた時も思ったんですけど」
「はい?」
「なんてゆーか、あれですね。まな板の上で平たい肉の筋切りしてるみたいな感じですね」
「ぶほっ!」
あれ? なんかうけたのかな?
でも腕のマッサージは続けてくれてるから平気だろう。
「今の腕ほぐしなんて手羽先ですよね~」
とたんにマッサージの手が止まり、妙なバイブレーションがかかった。
「(´・ω・`)?」
閉じていた目を開ければ、そこにはしゃがみこんでくず折れている先生。
あれ?
そんなにうけた?
お仕事の邪魔してごめんなさい。
待ちますから施術、最後までお願いします。
了
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