第二十五章 決着

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「私、速水 郷は、一人の少年に執着した末、誘拐・監禁しました。もう二度と、彼には近づきません。ここに、固く誓います」  そして、郷は土下座した。  この一連の模様は、加瀬がしっかりと録画した。 「これで、良し。いいかい? 章さん」 「はい」  章は腰を落とすと、まだ土下座している郷にハッキリと告げた。 「約束を破れば、この動画をあなたの家族はおろか、会社、取引先にまで拡散します」 「そ、それだけは……!」 「だったら、誓いを守ることですね」  うずくまったまま動けない郷を置いて、章と志乃は。そして加瀬たちはマンションの外に出た。 「今日は、よく働いてくれた。では、引き揚げだ」  加瀬がそう言うと、若衆たちは一斉に頭を下げ、それぞれに散って行った。  章と志乃は加瀬の車に乗り込み、彼の事務所へと向かった。  そこには、章の車が置いてある。  車内では、志乃は無言だった。  ただ、章の手をしっかりと握って離さなかった。
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