第一章 夢への第一歩

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 いきなり婚活、っていうのは、ハードルが高すぎるな。  恋活、くらいは、どうかな?  でも、ぐいぐい迫られるのは、怖いなぁ……。  スマホでマッチングアプリを検索しながら、章はいろんなことを考え、迷った。  そんな中、恋人代行サービスのサイトを見つけた。  いわゆる、レンタル恋人、だ。 「これなら、気軽にデートくらいできるかも」  試しにのぞいてみると、男女色々なタイプのスタッフ写真が並んでいる。  セクシー系に、キュート系。  年上に、年下に、同年代。  章の目は、その大勢の中の一人に止まった。 「小峰 志乃(こみね しの)くん。……この子、いいな」  プロフィールを見てみると、バストアップだけでなく、全身の写真も出てきた。  第二性は、オメガ。  淡い色のサラサラの髪は、ショートカットで爽やかだ。  髪と同じく、少し色素の薄い丸い目が、印象的に見える。  鼻筋が程よく通っており、その下の形の良い唇からのぞく歯は白い。  まだ少年らしさの残る、しなやかな体。  緑の並木や海をバックに撮ったスナップは、どれも素敵な笑顔だ。 「可愛いなぁ。よ、……よし! 挑戦してみよう!」  章は、少し不安を感じながら、だが、わくわくと問い合わせフォームに入力を始めた。  早く、志乃くんに会ってみたいな。  大金を手に入れた章だったが、同時に胸弾む未来も得たような気がしていた。  志乃の笑顔が、自分に向けられているような気がしていた。
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