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第二章 初デート開始!
その日、章はいつもより早く目が覚めた。
いや、実を言えば、昨夜はよく眠れなかった。
レンタル恋人・志乃と、初めてのデートの日なのだ。
期待と不安が入り混じって、緊張していた。
「でも。これで問題ないはずだ」
大きな姿見の前で、章は深くうなずく。
髪は、さっぱりと爽やかに、アップバングにしてもらった。
服は、上から下までブティックのスタッフに、コーディネートしてもらった。
靴下から靴に至るまで、だ。
バッグも、さりげないロゴの入った、だが有名な高級ブランドを手にしている。
「隣にいるのがダサい男だったら、志乃くんも嫌がるだろうからな」
わずか5日間ではあるが、スキンケアも実行したのだ。
姿見に映っているのは、今まで見たことも無い、ちょっとイケてる自分だった。
待ち合わせ場所には、車で向かった。
免許取り立てなので、早く運転に慣れたかった。
「そのうち、ナビシートに本物の恋人を乗せたいな」
本物の恋人と上手に付き合うために、レンタル恋人と会う。
志乃を身勝手に利用するようで、少し胸が痛んだが、そこはビジネスだ。
彼も承知の上で、うまく合わせてくれるに違いない。
そんなことを考えていると、すぐに目的地に到着した。
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