過去

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 僕が小学校低学年の頃、まだ健在だったばあちゃんの家によく遊びに行っていた。  その家の近くに、ほとんど人の来ない寂れた公園がある。  当時、人見知りの激しい僕にとって、そこは安心して遊べる楽園だった。  そしてそこには、ぽつんと1本だけ桜の木があった。  花見をする者など誰もいない公園であったため、その桜を独占して見ることができることを、僕は密かに楽しみにしていた。  その時、出会ったのだ。今まで見た事もないほど、美しい少女を。
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