***

1/1
前へ
/17ページ
次へ

***

 このままだと、のぼせる。  そう思った僕は、慌てて男子トイレの蒸し暑い個室から飛び出した。荒くなった呼吸のまま、鏡の前に立つ。頭の中が、ぐにゃりとしている。そのまま一分くらい、鏡の自分を見つめ続けていた。大きな空気が体を包んで、だんだんと、染み出していた汗が冷えていくのが分かる。体が、元の通りに落ち着いていく。危なかった。手を洗いながら、トイレでのぼせることにならなくて良かったと、僕は小さく息を吐いた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加