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その翌日から、俺は毎日2人分の弁当を作り屋上に行って、犬童と一緒に昼飯を食った。
犬童は食欲がないとか言ってパン一つで済ませていたとは思えないほどの食べっぷりを見せてくれて、作っているこっちとしても嬉しくなるぐらいだった。
それから、犬童の家は俺の家とそう遠くないらしく登下校時にはばったり会うこともあって、俺達はすっかり一緒に行動する時間が増えていた。
「そういえば、お前はなんでこんな時期に転校してきたんだ?」
一緒に行動するようになって1週間を過ぎた頃、俺はふと犬童が転校してきた理由が気になってそう質問した。
「…喧嘩…しすぎちまったから…」
「…喧嘩が原因だったのか…」
「…俺、ガキだから喧嘩売られたら無視できねーし、気付いたら何か、有名になってて、余計に喧嘩売られるようになっちまって…」
そう言った犬童の表情は言い表し難い複雑なもので、好きで喧嘩したわけじゃないというのが見てとれた。
「自分から仕掛けたことは?」
「…ない。一度も」
「…あれからもう喧嘩はしてないのか?」
「…っス」
「そうか、偉いじゃないか」
頭を撫でてやると、犬童は顔を赤くしてふい、とそっぽを向いてしまった。
恥ずかしがり屋なのかな、こいつは。やっぱり可愛く見えてしまうな。
思わず頬を緩めていると、犬童が顔を背けたまま話しかけてきた。
「………あんたって、さ…誰にでも、そうなんスか…」
「…?、そう、とは?」
「その…世話焼きっつーか…お人好し、っつーか…」
「迷惑か?」
「別にそういうわけじゃ、ねーけど…普通、俺みたいなのにそんな積極的に関わろうとはしねーだろ…」
「なんでだ?」
「なんで、って……はぁ…もういい」
「?」
これは、何か呆れられてしまったのか。
「あんた、変な奴だよ、ほんと…」
どうやら呆れられただけでなく変人認定までされてしまったようだ。
ちょっと不名誉だな…。
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