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「なぁ、このまま二人でどこか遠いところに逃げちまおうか」
まさか、現実でそんな恋愛ドラマみたいなセリフを聞く日が来るとは思ってもいなかった。
その日も僕は、じりじりと肌を焦がす7月の太陽から逃げるために歩き続けていた。
わざわざ暑い日に家から出なくてもと思うかも知れないが、それはできない。コンビニや喫茶店なんかに行ければいいが、それも難しい。
何故なら僕はまだ中学生で、今日が平日だからだ。学生服を着た中学生が平日の昼間から店に入れば、すぐに学校や親に連絡が行くだろう。
そして学校には行けない。それこそ太陽に焼かれ続ける方がまだマシだ。
家にも居場所なんてなかった。一日中、家族のため息や失望の眼差しに耐えられるほど僕の心は強くなかった。
だから僕は学校に行くフリをして家を出るが学校には行かず、片道一時間以上も田んぼだらけの田舎道を歩いて森を目指すのだ。
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