最初で最後の

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 早田との出会いは偶然だった。  期待と不安を胸に中学生になった僕は、クラスに馴染むことができず見事に孤立した。元々、僕は人付き合いが苦手だったから仕方ない、寧ろ一人の方が気楽で良い!なんて頑張って前向きに生きようともしたが、それは許されなかった。  どうやら僕は標的になってしまったらしい。  最初はノートや筆記用具が無くなるくらいだったそれは次第にエスカレートしていき、入学からわずか一カ月、僕は無事に不登校になった。  不登校になって一番辛いのは家族の視線だ。育ててくれた両親への申し訳なさと情けなさで頭がおかしくなりそうで、僕は家から逃げ出した。  家にも学校にも居たくなくて、ただただ無心でひたすら歩き続けた僕は、気付けばこの池の前に居た。そして早田と出会った。  僕たちは趣味も性格も全然違ったけど、何故か会話が弾んだ。  早田との会話はとにかく楽しくて、僕たちはいつの間にか友達と言える関係になっていた。
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