最初で最後の

　その理由が分かったのは、新聞の片隅に早田の名前を見つけた時だった。

　それは、僕が早田と会った最後の日の出来事。

　早田の母親が父親を殺害後、家に帰ってきた早田を殺害し、自殺した。早田と母親は父親から日常的に暴力を振るわれていた。それが一家無理心中の動機なのではないか。そんな風な事が書かれていた。

　早田の言葉を思い出す。

　あの時、僕が何か言えていたら早田は死ななかったんだろうか。
　そもそも早田の怪我に気付いた段階で大人に助けを求めていたら。
　後悔が津波のように押し寄せて足に力が入らなくなった。
　胸の中をグチャグチャにかき回されたような不快感に胃液がこみ上げてくる。

　僕は一体、どうすればよかったんだろう―――。

　泥のように眠り、そして考えた。

　考えて、考えて、考えて、僕は僕に出来ることを考え続けた。