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「お母さん! 私、試験週間なんだけど!」
ついイライラの矛先をお母さんに向けた。
「ごめん! 今ちょっと手が離せないのよ。少しだけ相手してもらえる?」
「え〜?」
嫌そうな私の表情に気付いてもくれない妹。なんで私ばっかり。
「ねえねの邪魔しないでよ!」
ベッドに並べていたぬいぐるみを何個か渡して、私は背を向けた。勉強しなくちゃ。問題集を広げて一問ずつ解こうとしたけど、後ろでキャッキャと騒ぐ高い声が耳障りだ。イライラして全く集中できない。頭を抱えて深い息を吐く。
私はスマホを取り出して、友達にLINEを送った。
「雫が部屋にいて
全然勉強できない」
すぐに更紗ちゃんから返事がきた。
『え〜
雫ちゃんかわいいじゃん
癒される〜
うちにも遊びに来てほしい〜』
「かわいくないよ
うるさいし
わがままだし」
背中の向こうで物が落ちる音がした。嫌な予感がして振り向いた。
――うわぁ、またか……。
小さな背中は何も言わず、ただ黙々と本棚から私の漫画を床に落としている。その様子をスマホで撮った。
「やられた」
送った写真を見て更紗ちゃんから一言『ウケる』と返信がきた。
「こんなことが毎日だよ
お母さんはずっと雫のお世話ばっかりしてるし」
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