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「雫」なんてかわいい名前をつけてもらっていいよな。私も「雫」が良かったな。「ゆい」って名前、「由衣」「結衣」「優衣」って、同学年に三人もいるんだよ。学校で「ゆいー!」って呼ばれて、振り向いたら別の子だったとか、何度あったことか。
――妬いてんの? 妬いてないよね?
手持ち無沙汰なシャーペンが、私の指で頭を振って暇を潰している。結局雫が部屋にいなくても、勉強には集中できなかった。
中間試験が終わった。家ではイマイチ勉強に集中できなくて、自分では満足のいかない結果だった。
「塾行きたいなぁ」
「家だと勉強集中できない感じ?」
「うん、雫の声がするだけイライラしちゃう。更紗ちゃんは?」
「塾行くぐらいなら、健斗と大輝が騒いでる中で勉強する方がいいかな。塾行きたくな〜い」
更紗ちゃんは小四と小一の弟が二人いる。弟二人……考えただけでも騒がしそうだ。よく勉強に集中できるなぁ。
「まぁ、健斗と大輝が一緒に遊んでくれるから、私はほっといてるけど、でも声はうるさい。でも塾は嫌だ〜」
「はは、そうなんだ。私、塾のこと、なんかお母さんに言い出しにくくて」
「え、言えばいいじゃん。私が言ったらすぐに塾に入れられちゃうよ」
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