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雫が私のテストをビリビリに破って遊んでいた。私の大声にびっくりして雫は泣き出した。
「私のテスト! もう! なんでビリビリにするのよ!」
意味もわからずにワーワー泣く雫。なんだよ! 泣きたいのはこっちだよ!
「何騒いでるの」
キッチンからお母さんが出てきた。
「お母さん! 雫が私のテストをビリビリにした!」
雫が持っていた破れたテストを奪い取ると、更に火がついたように泣いた。
うるさい、うるさい。足元に破れたテストが散らかっている。頑張ったけどあんまりいい点取れなくて、もっと頑張りたくて、塾に行きたくて……。
「雫の手が届くところに置きっぱなしにしてるからでしょ! 雫はまだ分からないんだから。由衣はもう大きいんだから分かるでしょ、こうなることぐらい」
まただ。悪いのは私。テストをビリビリにした雫じゃなくて、悪いのはお姉ちゃんの私。テストをお母さんに見てほしくて、テーブルの上に置いただけなのに。そして、お母さんに塾の話をしようと思っていただけなのに。
お母さんは雫を抱っこしてなだめている。私は奪ったテストを握りしめて立ち尽くしている。
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