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噂で龍二の活躍を耳にする何年も前から、俺は監察から目をつけられていることに気づいていた。
坂江組と特別な縁を持っていることまでは、まさかバレていないだろうが、俺が坂江を贔屓していることについては、少なからず警戒していたようだ。
一度、黛の前任者に呼び出されて警告を受けたことはあるが、当然気になど止めていなかった。
俺のやり方が間違っているとは思わなかったし、何より『ただ椅子にふんぞり返っているだけの、現場を知らないキャリア官僚に何がわかる』と心の中で唾を吐いたものだ。
だが直接呼び出しを食らったのはそれきりだったので、まさか今頃、監察の話が出てくるとは予想もしていなかった。
先程の龍二の口ぶりからは、もう既に、俺と監察の歪みについて知っている様子が窺えた。
そう──現役として直接は知り得ない、少数の人間のみが関係している情報を持っている、そして今会っている相手が監察官。この事実から導き出される答えは、一つしかない。
──冴場龍二は、監察のスパイだ。監察から秘密裏に放たれた、警察の邪魔者を排除する犬だ。
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