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「そもそも他人に頼んねぇで、真面目に講義出とけよ!」
「その中には、オマエが行かないでーって駄々捏ねたヤツもあんだけどねぇ」
ぐっと息を飲み、頰に朱を走らせるのは、心当たりがあるからだろう。
「あーもうっ! 一年早く生まれたかったっ!!」
羞恥と口惜しさに赤くした顔を歪め、潤んだ目で攻撃的にに睨みつけてくる様が、どれほど扇情的か──きっとコイツは、分かっていない。
「俺と同学年だったら、そもそもこういう関係になってねぇだろ」
高校で、バスケ部の先輩後輩から始まった関係だ。
先輩だから、鼻っ柱の強い後輩の捻くれた根性を叩き直してやろうと思えた。
きっと後輩だから、傲岸不遜な先輩に、遠慮も手加減も抜きに食ってかかれた。
どれほど相手に嫌われようが憎まれようが構わなかったから、互いに飾らず本音で言い合い全力でぶつかり合った。
それがまさか、こういった関係に落ち着くとは思っても見なかったのだが。
うーっ、と低く唸るコイツも、それが分かっているから、返す言葉が無いのだろう。
それでも。
「いっつも、オレばっかりが追っかけて、アンタは余裕で……ずるい」
苦しげに顔を歪め、奥歯を噛み締めていた口から漏れた言葉は、聞き逃すほどに小さい。掠れる声は微かに震え、それが抑え切れず溢れ落ちた本音であることを知らしめる。
思わず──盛大に、舌打ちをした。
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