ホワイトピンクの恋人

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「もう……何なんすか、アンタ! 不細工なツラしてるくせに! こんな時だけ、決めやがって……ずりい」 「あーハイハイ。どう足掻いたって、オマエよりはモテねぇ不細工だからぁ。安心しとけよ」  眼下にあるホワイトピンクの髪を、容赦なく掻き乱すようにして撫でてやる。いつもなら、やめろ髪型が崩れる! と噛み付いてくるところだが、大人しくされるがままだ。 「出来るかよ……アンタと、ちょっとでも関わりを持てば……意外と世話焼きで、優しいとことか、分かっちまうんですよ。そのギャップにやられるコ……アンタが気付いてねえだけで、高校ん時から、結構いたんすからね?」 「興味ねえし。それと、オマエの言ってた茶髪女だけどさぁ。俺には心配性の可愛い恋人がいるって、ちゃあんと言っといたからぁ」 「誰すか、それ」 「いつもクソ生意気な顔してるくせに、俺のことになると意外と泣き虫な、ピンク頭でいっこ下の後輩って、付け足した方が良かったぁ?」 「……いらねっす」 「おら、いい加減立ってくんなぁい? 開けさせてくれんだろ? ピアス」  腕を掴めば、鼻をぐずぐず鳴らしながら立ち上がる。ワンルームの、風呂と一体化している狭い洗面所で、身長180越えの男が二人──何をやっているのかと思わなくもない。  それでも、涙目のまま力無く睨み付けて来るコイツを見れば、そんなことはどうでも良くなる。 「オレも……アンタにピアス、開けたい」 「良いよぉ。ピアッサー二つあるからぁ。一個ずつ使おっか?」  コイツがそれを望むなら、応えるのは吝かではない。
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