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しばらく沈黙を守り、コイツはこともあろうに、やっぱいいです、と呟いた。
あぁ? と不機嫌な低声が漏れる前に、目の前にある端正な顔が悔しげに歪む。
「ピアスしたアンタは、何か……色気が増しそうだし。これ以上、無自覚に誰彼誘惑されても、困るんで」
毒気を抜かれた、と言うより──呆れた。
他者の目に自分がどう映っているのか──コイツの方が、あまりにも無自覚だ。
身長180越えの長身は、ゴツ過ぎない程度に筋肉がついて引き締まっている。少し吊り目で、誰が相手でも物怖じせず真っ直ぐに視線を合わせる様は、生意気と評されることもある。だが、その仏頂面にも見える顔立ちが整っているのは誰もが認めることだろう。
そうして意外と頻繁に見せる笑顔は、屈託なく華やかだ。
バスケ部のレギュラーで運動神経は抜群だし、学業成績も優秀。
負けず嫌いな一面はあるが、スポーツをやっている人間なんて皆、多かれ少なかれそんなものだ。コート外で接点を持った人には、真面目で礼儀正しい面の方が、強く印象づけられるだろう。
コイツが、世間一般でいう「優良物件」なのは、間違いない。
ただ──髪色がホワイトピンクという一点で、先入観のこもった目で見られがち、というだけだ。
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