ホワイトピンクの恋人

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 こういうノリは、適当にあしらうのが正解だ。 「……左端ぃ」 「おお、意外! ギャル系が好きなんだ」 「巨乳じゃねえか!」  そこじゃねえよ、という小さな反論は、同輩どもの笑い声に掻き消された。 「やべ、そろそろ行かねえとマネちゃんズに、どやされんぞ」  慌ただしく動き出したメンバーたちの中で、コイツだけが、難しい顔をして開かれたままの雑誌を凝視していた。  それからしばらく経った、休養日の翌日。    部室のドアを開ければ、外まで響いていた複数の笑い声が鼓膜に直撃した。 「何で笑うんっすか、似合ってんでしょ!」  目に飛び込んできた後頭部に、ギョッとする。  くるりと振り返った顔は間違いなくコイツで、お疲れ様っす、と掛けられた声に上手く反応出来ない。 「……何、その頭ぁ」  コイツの髪は、ホワイトピンクに染め上げられていた。  
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