ホワイトピンクの恋人

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「何って、ブリーチして染めたに決まってんじゃないすか。佐久間さんとか、酷えんすよ! 『そんな髪色にすんのは、韓流アイドルか、個性を後付けしようと必死な芸人くらいだ』って! 誰が『じゃない方』芸人だっつうんすか!」 「いや、その自らイジられに行っちゃうところが、既に芸人だろ」 「キレ芸にしちゃあ迫力足んないし、ボケにしちゃ弱いし。芸人に向いてねえよ、お前」 「分析が的確っすね! てか、そもそも芸人目指してねえし!」  同輩たちの笑い声が大きくなる。 「どーでも良いけどさぁ。俺、着替えたいんだけどぉ」 「おー、そういえば、そろそろ時間だな」 「じゃ、先行ってるぞ」  気心の知れた彼らは、多少のことで気分を害することもない。  後でな、と笑顔で出てゆく同輩たちを見送り、ロッカーを開ける。  部室に、不満げな顔をしたコイツと二人、取り残された。  オマエも行けよ、と言う前に、酷く真面目な顔をしたコイツが口を開いた。 「アンタ的には──どうっすか」  真っ直ぐ見据えてくる目には、挑むような光がある。  強い眼光と引き結んだ唇は、不機嫌に睨みつけているようにしか見えないが。そこに緊張と不安、僅かに縋るような色があるのに、気付いてしまった。  誰よりも近くで、コイツを見続けていたから──解ってしまった。
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