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ホームで電車を待っている間に今日の授業で習った所を読み直そう。クラスの子達と違って物覚えが悪いから、何度も読み直さないと駄目なんだ。読み直しても、分からない事だらけなんだけど。
頑張っても頑張っても、頑張れた気がしない。テストの点はいつも中の下、運動神経も運動部やってる奴には敵わない。
本当、何をやっても上手くいかない。
粉雪が降り出した青灰色の空を見上げ溜息をつく。
お腹、空いたな……。そう思った時だった。
トン――。
背中を押された。
突然の事で抵抗出来ず、ボクはホームから線路に頭から落ちた。敷き詰められた砕石や冷たく大きなレールにうつ伏せに全身ぶつけた痛みで呻くボクがみた最期の光景は眩しい光と迫る車輪だった。
***
寒い。
お腹空いた。
寂しい。
死にたくない。
痛い……痛くない。
痛くない?
「気が付きましたか」
声がして目覚めるとそこには〝何も無い〟が広がっていた。正確には真っ白すぎる空間が広がっていて、確かに床に寝ているのに温度を感じず、壁も天井も無いように見える真っ白な世界がどこまでも続いている。
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