『メガネ』男子に囲まれて

本領発揮！シルバーフレーム ドSの柴田

今日も『浜辺　葵』を取り囲む
『四人のメガネ男子』

彼女の左隣のシルバーフレームの柴田は、突き刺さるような視線を感じ、視線が送られてくる方向を見た・・
そこには、机に肘をついて両手を頬に当ててニヤニヤしながら彼を見ている葵の姿が見えた・・

「浜辺さん・・何？」と柴田が言った。
「ううん・・何でもないよ・・」とニヤ気が止まらない葵・・・
「何でもないって言っても・・笑ってるよ・・顔が・・」
と困り顔の柴田・・
「だって～。ね～。柴田君が・・・てへっ！望月先輩のこと・・」とニヤ気る葵・・

「はあ～。」っと溜息をつく柴田・・ふと葵越しに小野田の顔が見えた・・・

ニヤリ！と笑う小野田・・

そう・・柴田はイカツイ顔の望月先輩のことを『好き』と葵に誤解されたままだった・・
「どうにかして、誤解を解かなければ」
と焦る柴田・・

「もしかして・・柴田、この戦いから　脱落第一号？」と井上は思った。
「強敵が一人、減ったな・・」と青木が頷く。
「ふん、だから、天罰だって」　
一択の小野田・・。

三人の心の声をよそに・・柴田はひとり
「何とかして、誤解を解く！そして、最前線に返り咲いて見せる・・」と闘志を燃やす・・・

その日の放課後・・

「小野田君、部活行こう・・」と葵が小野田を誘う・・
「は～い」と葵の後ろを着いて行く小野田・・
それを見送る井上と青木・・

「あれ？柴田は？」と井上が言った。
「さあ・・さっきまでここにいたけどな・・」
と青木が言った。

家庭科室に到着した小野田と葵・・
家庭科室に入る二人・・
「えっ？何でいるの？」と驚いた小野田が言った。
「やあ・・・小野田」と彼を呼ぶ声・・

「今日、体験入部の柴田君よ・・」とイカツイ顔の望月が柴田を紹介する・・

「きゃ～うそ、入部するの？柴田君」
と興奮気味の葵・・
「いや・・・今日はその、見学するだけで・・だから、出汁とかスープは飲みません・・」と柴田が言った・・。

少し、困惑する小野田・・
これは絶対裏があるぞ・・と思う小野田・・

「じゃあ、先ずは、色々と説明してあげて・・」と望月が葵に言った。
「わかりました、じゃあ、柴田君・・こっちにどうぞ」と葵は柴田を連れて家庭科室の隣にある準備室に行った。

小野田は胸騒ぎがしてならなかった・・
何故ならば・・・あの柴田が　ドSの柴田が　
大人しく『体験入部』それも『見学』するわけがない・・

小野田は急いで・・・準備室に向かいドアを開けた・・

「やっぱり・・」小野田は、呆れ顔・・いや、驚き顔で柴田を見た。

小野田が見たのは・・
壁に押し付けられた浜辺葵の姿・・
そして、その前に立つ柴田の姿・・

それは・・絶妙なシチュエーションとタイミングで『壁ドン！』している　シルバーフレーム　クールなドS男　柴田・・
そして、『壁ドン！』されている、
『キュンキュン大好き』浜辺葵の姿

葵が柴田を見上げ、柴田が彼女を見下ろす・・
シルバーフレームのメガネの下の彼の悪戯に冷たい眼差しが葵の胸を『ドキュン・ドキュン』と打ち砕く・・

葵の表情を見た柴田がゆっくりと彼女に話しかける・・
「あれ？浜辺さんどうしたの？顔が赤いよ・・」
何も言えず、うつむいたままの葵・・
「わかったでしょ？俺、女の子が好きなこと・・
だから、誤解しないでね」
と彼女の耳元で囁くと柴田はクルリと向きを変えた・・

準備室の入り口に小野田の姿を確認すると彼に近づき・・
「はい！回収！回収！」と言うと、柴田は小野田の肩をポンと叩き家庭科室に戻って行った。

準備室に残された葵と小野田・・
「柴田君って・・凄い」と葵がボソリと言った。
それを聞いた小野田・・えっ？何が凄いの？
　柴田、彼女に何したの？と頭の中が混乱する
小野田・・

暫くして、葵と小野田が家庭科室に戻ると・・・
大勢の頭に三角巾をつけた、エプロン姿のメガネ男子から取り囲まれ、もみくちゃにされている
柴田・・

「俺の時と同じだ・・」と小野田が言った・・

が・・同じではなかった・・・

柴田はシルバーフレームを整えると言った・・
「君達・・僕に気安く触らないでくれ・・」
　冷酷さ満点の声で　周りの男子たちを払いのけた・・
一瞬で、大勢のメガネ男子たちが彼の周りから少しだけ離れる・・

「僕の見学はもう済んだ・・失礼する・・お邪魔しました」とクールに言うと柴田は家庭科室を出て行った。

柴田の後ろ姿を見た複数の男子が言った。
「柴田君・・カッコイイな・・」
「男らしくて、カッコイイ・・・」

それを聞いた小野田・・
「柴田・・お前、男子にモテるんだな・・」と呟いた。

隣にいた葵は黙って柴田の後ろ姿を見つめていた・・

シルバーフレーム、葵の左隣の席の柴田・・
クールで冷静、ドSの柴田・・

あっという間に『浜田葵争奪戦！』に返り咲いた・・

　　　　　　　　　　　　　～つづく～