静かに笑って、姫

emotions ~鉄仮面少女~

「ほらっ！そこぉっ！」
　私の耳に飛び込む怒声。
「全く､､､何回やれば直るんだっ！その癖っ！！」
　はい。と小さく返事をする。私は今立派な領主になるように剣術の稽古中。本当はバイカウント(子爵)のように自由気ままにおしゃれや買い物をしたいお年頃。けれど家柄が家柄でそんなことを出来る余裕もないのだ。
「次、100回また素振りなｯ」
　そう命令されてまた振り続ける。剣が空気を裂く音、手に受ける剣の重み、全てが嫌になりそうだ。しかしいつしかこんな事をやってるうちに感情と言うものに頓着しなくなったのだ。そう言うより感情について分からなくなったのだ。59､60､､､ フォン、フォン、フォン、フォン、82､83､84､､､無意識に振り続ける。しかし父は見ておらず楽に降る。フォン、フォン、フォン。100。ようやく百回出来た。疲れにより手汗で持ち手はびしょ濡れ、手のタコは痛み、額から汗が流れ落ちる。
「終わりました。」
「やったか。」
「はい。」
　鋭い眼光を向けながらその場を去っていった。