emotions ~鉄仮面少女~

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 なんやかんやと時がたち、成人の儀がある15歳になった。周りはお淑やかで豪華な格好の中、私だけラフな鎧姿。浮き彫りになっているが私としてはどうでもいい。15歳の今、完全に感情と言うものが欠如した。父の言う完璧な姿になったのだ。ジロジロ見てくる視線も気にならないし、悪口ももはや小鳥の囀りに聞こえる。チェアリ*の花が舞い落ち、地面に薄ピンクの絨毯に変えた。成人の儀は屋外でやるのが普通。神が一番見やすくて近づきやすいからだそう。  ゴーンッゴーンッと正午を知らせる鐘がなった。儀は正午から始まる。まず初めに牧師が出てきて、神への私たちをここまで生かしてくれたことの感謝、これからも幸せであるようにと言うアグラフィ*の内容を読む。そして皆が起立し、一人一人牧師からお守りのようなトフィラ*と言われるものをもらう。それを貰えるか貰えないかで寿命が変わるらしい。勿論私はもらった。不思議な形をしていて割と大きめで、木でできている。それを首から下げ、これでご加護が賜ったと言う。皆、材質は同じだが見た目が違う。小さめの者もいればカラフルな奴も。それで終わりだ。 ※チェアリ・・・桜のような花。
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