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「まだ怒ってるの?」
「……」
「子供だねぇ」
ビニールで梱包された紙おしぼりを錦に差し出すが、やはり受け取らない。仕方がないので彼の隣にペットボトルと共に並べる。
やれやれ反抗期かねと笑いつつ、購入したパンを取り上げる。
パンプキンを生地に練りんだベーグルにはピスタチオが二つ乗っていて見た目はそれなりに旨そうだが、口にしてみれば味気無くパサついていた。
失敗したなぁと思いつつ、咀嚼しても固い触感を残したままのそれを茶で流し込んだ。
「食べなよ」
幾つかの菓子パンが入る袋ごと錦に差し出すが彼は無言だ。
海輝を見つけたときの錦は少しでも下手な刺激を与えれば、逆上しかねない雰囲気があった。
再会したのは良い物の、こうして腰を落ち着けてみればどうしたら良いのか分からなくなった、と言った所だろうか。
扱いにくい子供だ。
茶で残りのベーグルを流し込み、手の中でフィルムを弄ぶ。細く畳みこぶ結びを作りながら、彼の名前を呼ぶ。
相変わらず返事は無い。
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