腐った水のように

【１】再開

竜ヶ崎学院は大学院、大学および付属研究施設。高等科・中等科・初等科。男子高等科・男子中等科があり、海外留学生受け入れにも積極的だ。姉妹校には中高一貫校である、東城灘大学付属中学・高等学校がある。

竜ヶ崎学院大学経済学部の三年に在籍している海輝は、時計台を見て頭をかく。短針が一つ時を刻み、時刻は13時15分。
履修している午前の講義は一時間も前に終わっていたのだが、昼食でも摂ろうかと教室から出たところで女友達に捕まってしまった。共に講義を受けていた文学部の友人を交え、話し込んでいたらあっという間に時間が過ぎていたのだ。

6月1日土曜日の午後の講義は15時からだ。昼食をとったあと、図書館で時間でも潰そうかと、午後も引き続き同じ講義をとっている友人に声を掛ける。
校舎外へ出て現在地から最も近い食堂への移動中、友人が「あれ？何で中等部の子がいるんだ？」と肘をついてきた。
視線の先には、華やかな私服と流行のメイクをした女子大学生の４人に囲まれながら若干怒ったような不貞腐れた表情をしていた少年がいた。