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「食べさせてやろうか」
負けず嫌いな彼はむきになり力を込め袋を左右に引く。
「あぁ、駄目だよ。そんな力任せに引っ張ったらさ」
「あっ」
「ほらね」
クリームを挟んだスフレは、裂けたビニール袋から勢いよく飛び出し硬い地面の上で潰れる。
「っ……くく……」
「人の不幸を笑う人間ほど貧しい人間は居ないぞ」
「耳が痛い。いやいや、君が予想外に可愛い……いや、面白いから驚いただけさ。ごめん。サンドイッチ食べる?お腹すいてるだろ?」
野良猫に餌をやる気分で、キュウリと照り焼きチキンのサンドイッチを袋から取り出し彼に差し出す。
彼が何も食べれないと言うのに、その隣で一人だけ食べるわけにはいかない。
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