【3】天邪鬼な猫

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視線がさらに尖る。 海輝の変わらない態度が気に食わないのだろう。もっと、驚いたり罪悪感いっぱいの表情でもして見せれば良かったのだろうか。 舐めるように少年を見る。 海輝にとって錦はすでに利用価値は無い、ただの子供だ。 もともと捨て駒として傍に置いただけにすぎない。 弄んで裏切って傷つけて、嘲笑した相手を前に、言いたいことや聞きたいことなど山ほどあっただろう。だが、彼は立ち止まりきゅっと唇を噛んだまま、俯いた。 「午後の講義があるんだ。これから、昼食をとるから錦君もおいで」 返事は期待せず背を向けて歩けば、慌てたように追いかけてくる気配。変わらないなぁ。そう笑いをかみ殺しながら、一定の距離を保ちながら追いかけてくる相手を思った。 まるで天邪鬼な猫だ。
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