N社との話し合い ⑤

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N社との話し合い ⑤

 鈴木が長野さんに会いに行っている?  そんな話聞いていない。  社長に嘘をついたのか?  でもどうして?  どういうことだ?  考え込みながら受話器をおくと、 「鈴木くん、1人で長野副社長に会いに行ったんですか?」  晴人が怪訝そうに聞く。 「俺は聞いていないが、親父はそう聞いたらしい」  晴人は少し考えてから、 「それはちょっとまずいかしれません」  そう言いながら、表に車を用意しておくように連絡をする。 「長野副社長について、悪い噂を聞いて」 「悪い噂?」 「あくまで噂なので定かではないのですが、もしかすると長野副社長は、鈴木くんに枕をさせとうとしているかも知れません」 「枕って枕営業か!?」 「違うかも知れません。でもそんな噂を聞いたので……」  晴人が言い終わらないうちに、俺は部屋を飛びだし、晴人が呼んでおいてくれた車に乗り込んだ。    くそっ!  鈴木は男と2人きりになるだけで恐ろしくて、体がこわばってしまうのに。  チッと舌打ちをしてしまう。  この前、長野に初めて会った時、顔を真っ青にして震えていたことを思い出す。  もしかしてあの時、何か言われていたのか?  何も気が付かなかった自分が情けない。  どこに呼び出された?  ホテルか?  いや、直接ホテルに呼び出したのなら、何をさせとうとしているのがわかりすぎる。  もし鈴木をホテルに呼び出したことがバレることがあった時、言い逃れできない。  あくまで鈴木の承諾の上にあったことという事実を作りたいはずだ。  だったら一度は人目がある場所に呼び出すはずだ。  そこで鈴木の承諾を得た上、場所を移動しようとするはずだ。  人目はあるが邪魔されない場所。  あそこしかない!! 「いつもの料亭に急いで行ってくれ!」 「はい!」  運転手は裏道を通り、料亭まで急いだ。
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