森田霞の9

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グルグルと回るティースプーンと一緒に頭の中もグルグルと渦を巻く。 まだ白紙のままの罫線が均等に引かれた退職届をぐちゃぐちゃに丸めてテーブルの端へ投げる。 勢いついた紙屑は乾いた悲鳴をあげて床に落ちた。 湯気もたたないぬるい紅茶を啜る。 夜中の静けさが傷を痛ませる。 無音の中で自分の体内からガラガラと岩崩れにも似た騒々しい音が地鳴りを響かせていた。 少しずつではなく一気に削ぎ落ちて崩れていく自分の日常に背中が冷たくなる。 後悔している。遅いとわかっていても後悔してしまう。 タバコを咥えて火をつける。 白くて苦い煙が目にしみたからなのか、それとも他の理由からか。 勝手に涙が右目から一雫溢れた。
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