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「…食うか、やっぱ」 「やだ!」 莉子はプイッとそっぽを向いてしまったので、ダークな月風はパッと離れた。 「…はぁー そうかよ、わかった」 「…?」 「何ビックリしてんだよ?」 「退いてくれたから、意外だったから」 「別に襲って欲しいなら、そうするが?」 「嫌! そんな事したら血はあげないからね?」 「うっ 卑怯な手使いやがる」 「約束でしょ? 血はあげるけど、それ以外はしないって」 「…それは場合によるな」 「何よ、場合って?」 莉子がムッとしながらそう聞くと、ダーク月風は真顔になるとこう告げる。 「俺が惚れた場合だ」 「はい? 意味不明なんだけど?」 「フッ まあ、もしもだけどな」 「それより、何で布団出したのかしら?」 「ん? 一緒は無理なんだろ?」 「…同じ部屋は無理だからね?」 「ふぅん? ホワイトな方だったら寝せただろうが」 「寝せないけど? 取り敢えずは隣の部屋使ってよ」 「うーん?」 ダーク月風は何やら考えて居たが、フッと微笑むとそのまま布団に潜ってしまった。 「ちょっと?! 何を聞いてたのよ?」 「だから、危ないから一緒に居るだけだって?」 「もう、勝手過ぎ」 莉子はムッとしながらも、自分も布団に潜ると明かりを消すと眠ってしまった。 「やっぱりな」 ダークな月風は部屋のカーテンを少しだけ開けて外を覗いていたが、コウモリの大群が周りに集っていた。 「ただいま〜」 月風は突然のそんな間抜けな声に驚いたが、声の主は莉子の部屋をノックする。 「莉子姉さん? 入るよ?」 「…!」 声の主はそう告げるなり入って来たので、月風も布団に隠れて様子を見ていたがあろうことか莉子にキスしていた。
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