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「それはヴァンパイアのせいか?」 「まあ、そうだね? 昔から莉子姉の血は狙われていたんだ」 「なるほど。 それなのに血を提供して大丈夫なのか?」 「遠慮してるんだね?」 「あぁ、莉子に負担が掛かるだろう?」 「大丈夫。 輸血のストックがあるんだよ? だから、採血を毎回する訳じゃないよ」 「そうなのか」 「知り合いの神崎弥生先生がストックを預かってくれているんだ。 勿論、厳重な管理の元でね」 「事情は理解した。 血を提供してくれる代わりにと言ってはなんだが、莉子を守る手伝いをしたい」 「ふぅん? 珍しいヴァンパイアだな」 「ダメなのかよ? ヴァンパイアが人間を守っちゃ?」 「嫌、面白いと思ってね? 下級なヴァンパイアは頭が悪いからすぐ噛み付いて殺しちゃうけど、君は本当に特殊みたいだ」 「さて、気紛れなだけかもしれないぞ? 俺は莉子に迫るかもしれないだろ」 「僕だって黙って見てるだけな訳ないでしょ?」 「フッ 歪んでる弟だな」 「血は繋がってないんだから、別に構わないと思うけどね」 「それは一理あるが、莉子はどう思ってるんだろうな」 「多分、可愛い弟としか見てないよ?」 「わかってるんじゃないか」 月風は可笑しそうに笑うと、朱鳥はフッと笑うとこう告げる。 「わかってるけど、好きな気持ちは別物でしょ?」 「まあ、それはそうだな」 月風と朱鳥が夜中にこっそりそんな話をしていると、莉子は眠そうに部屋から出てきた。 「あーくん、来てたの?」 「莉子姉さん、起こしちゃった?」 「ううん? 喉渇いちゃったから起きたの」 莉子は眠そうに冷蔵庫から水を取り出すと、コップに入れて飲んでいた。
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