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「莉子姉さんに触るなって言わなかったかな?」 「抱きついてるだけだぞ?」 「ダメに決まってるだろ? ほら、離れて」 朱鳥が月風をパッと剥がすと、莉子は真っ赤になっていた。 「…莉子、真っ赤だぞ?」 「気のせいよ」 莉子はムッとしながらもうどんを投入すると、スープを作っていた。 「莉子姉さん、お風呂入ったの?」 「あ、ううん? 朝入ろうと思ってたんだけど」 「ふぅん? なら、入ってきたら? 月風くんは見張っとくし」 「何だ、そりゃ?!」 「覗いたら殺されるからね?」 「…ふんっ」 月風が詰まらなそうに拗ねているので、莉子はプッと思わず吹き出した。 「な、何だよ莉子?!」 「子供みたいに拗ねてるから」 「ほら、後は混ぜるだけだから入ってきて?」 「あ、ありがとう?」 莉子はニッコリ微笑むと、バスルームに入りにいくので月風はやはり詰まらない。 「月風くんはさ? 莉子姉が気になるの?」 「うーん? まあ、普通に美人だしな」 「ヴァンパイアが美女好きなのは本当なんだな」 「まあ、美人でも美味い訳じゃないけどな」 「飲んだことない癖に?」 「な、何となくだ」 「フッ やっぱり変なヴァンパイア」 朱鳥はうどんを啜りながら笑っていたが、月風はムッと拗ねていた。 莉子が風呂から上がって髪を乾かして戻ってくると、月風はベランダに出ていた。 「月風くん、寝ないの?」 「添い寝して欲しいならそうするが?」 「月風くんは僕の部屋だからね? 一緒に寝せる訳ないでしょ?」 「ふふっ じゃあ、あーくんお願いね? おやすみ」 莉子はニッコリ微笑むと、自分の部屋に入ると3度目のベッドインをして眠ったのだった…。
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