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「緊張したり、赤くなったりって言っていたけど? 免疫がないからすぐ蒸発して人格が入れ替わる仕組みらしいの」 「ふぅん? なら、緊張したり赤面したりしたらまた莉子に襲いかかる人格が出てくるって事になるのか…」 「う、うん? 仕組み的にはそうなるね」 質問に真剣に答えていた莉子だが、月風はふとこんな風に尋ねる。 「莉子は二重人格とか嫌じゃない?」 「月風くんには変わりないよ? まあ、ちょっとワイルド過ぎるのだけど…」 「そっか、ワイルドなんだな」 「ふふっ でも、今の月風くんは優しいし… 何だか守ってあげたくなるね」 「ダメじゃん、それ? 男として終わってる」 「じゃあ、リハビリしてみる?」 「リハビリって、何を?」 「デートしてみるとか?」 「で、デート?」 「うん? 女の子に免疫がないなら、慣れれば良いだけだよ」 「…慣れる?」 「うん? まずは手を繋いでみるのはどう?」 「手って… 嫌、それは流石にダメな気が…」 月風は照れくさいのかほんのり頬が赤くなっていたが、入れ替わる程ではないようだ。 「月風くんが少しでも免疫がつくなら協力したいな」 「…何で莉子がそれをするの?」 「だって、月風くんとも普通に話したりしたいし? まあ、人格は兎も角困ってる人は放っておけないの」 「そ、そっか? 莉子は優しいんだな」 月風はフッと微笑むと、手を差し出してくるので莉子はそっと手を握った。 「どうかな?」 「…柔らかい」 「へ? あ、そうなるのかな?」 「女子はやっぱりか弱く出来てるのかもな」 「月風くん、朝食作るけど何か嫌いなものはある?」 「トマト以外は大丈夫」 月風がそう告げるので、莉子はフッと可笑しそうに微笑む。
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