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お伽噺や不思議な物語が好きな主人公は、南月莉子。
恋愛なんかそっちのけでハマっているモノは、ヴァンパイアが登場するようなちょっと現実にあったら怖いお話だ。
「さて、夕飯の材料も買えたし…
早く帰らないと」
莉子は図書館に寄って本を借りてから夕飯の材料をスーパーで買って家路を急いでいた。
「ん?」
莉子は道の端に何かが倒れているのを見つけると、少し怖かったが近づいてみた。
「あっ!
大変!」
莉子は道端に倒れている男の子を取り敢えず近くの木陰に運ぶと、膝に寝かせて介抱する事にした。
「顔色悪いな?
貧血かな」
「…だ、れ?」
美少年は気が付いたのか目をパチッと開くと、莉子の心配そうな表情を見てはハッとなる。
「あ、大丈夫ですか?
道端で倒れていたので運んだんですけど」
「…えっと、その」
「どうしました?
あ、お水飲みますか?」
「…そうじゃなくて」
美少年は何かを言いたそうにしているが、言えないみたいだ。
「私、南月莉子です。
お名前言えますか?」
「泉…月風」
「泉くんですね?
お家は近いのですか?」
「あ、えっと…」
「良ければ家に来ませんか?
夕飯の支度をしなければいけなくて…」
莉子がそんな風に言ってくるが、月風はどうしようかと悩んでしまう。
「あ、あの?
泉くん?」
「ごめんね?
なら、お言葉に甘えてもいいかな?」
考えた末そう告げてしまった月風だったが、莉子はニッコリ微笑むと頷いていた。
「それより、貧血ですか?」
「あ、うん?
血が巡らないんだろうね」
「大丈夫なんですか?」
莉子は心配顔をグッと寄せてくるので、月風は思わず香りを嗅いでしまった。
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