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「莉子、お前甘い香りする」 「…これ、何?!」 「マーキングだよ? 俺の餌って印」 「餌って何?」 「だから、莉子の血は俺が頂くって証」 「か、勝手に決めないで!」 「でも、もう付けたし?」 「…うぅ」 莉子は余りに身勝手なダークな月風のせいで泣き出してしまった。 「お、おい? 泣くことないだろ」 「ばかぁー アンタなんか嫌い!」 「うっ」 莉子がそう告げると、ダークな月風には効き目が抜群だったのか狼狽えていた。 「…月風くんは?!」 「嫌、気絶したらチェンジすんだよ」 「戻らないの?!」 「ふぅん? 優しい王子が好きなんか」 「アンタよりは断然ね!」 「うぅ」 ダークな月風は嫌いというワードが苦手なのか、胸を抑えていた。 「どうしたら戻るの?」 「…アイツは血が飲めないから貧血になるんだよ? だから、俺が摂取しているんだ」 「つ、つまり?」 「ヴァンパイアみたいじゃなくて、ヴァンパイアなんだよ?」 「嘘?!」 「嘘言ってないぞ?」 「じゃあ、月風くんは人間じゃないのね…」 「そうだ」 「…そっか」 莉子は何となく落ち込んでしまっていたが、ダークな月風はその顔にも弱いらしい。 「…血が摂取できれば倒れない?」 「あぁ、そうだな」 「じゃあ、輸血はどうかな?」 「…へ?」 「月風くんは血が飲めないんでしょ? なら、輸血」 「フッ そりゃ、ビックリなアイデアだ」 「ダメなの?」 「嫌、その…」 「…だって、人間は弱いのよ? 血を取られたら死んじゃう」 「んー まあ、それはそうだな」 ダークな月風はそこは理解できているのか納得していたが、フッと微笑むとこう告げる。
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