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「でも、莉子の血な?」 「へ? 私のじゃないとダメ?」 「当たり前だろ? 莉子の血をくれるなら、他の人間は襲わない」 「…でも、採血の量は決まってるんだよ? 摂りすぎたら死ぬの」 「わかってるよ、そんな事は」 「うーんと、なら… 知り合いの先生に協力してもらうからね?」 「…人間の協力者か」 「…嫌なら、あげません」 莉子が真顔でそう告げるので、ダークな月風はその条件を飲むしかない。 「わかった。 けど、ソイツ以外には口外するなよ?」 「わかったから」 「…にしても」 「何よ?」 「嫌、お前美人だな」 「は?」 莉子が目を細めてダークな月風を見やると、フッと笑われた。 「ホワイトな月風のが好きなんだな」 「うん? 何か初な感じで可愛いなって…」 「詰まらない男の代表みたいな奴だぞ? 血が飲めないし、死ぬ気かってやつだ」 「ねぇ? ヴァンパイアなら、日中は出歩けないんじゃないの?」 「フッ そんなのは昔の話だ。 今の奴らは日光平気だし、ニンニクも十字架も効かないからな?」 「本当に?」 「うん? ただ、血は欲しいけどな」 「贅沢な種族ね?」 「つーか、風呂借りるぞ? 服適当に貸せ」 「はぁー? 帰りなさいよね」 「やだ。 夜は危ないから、莉子守んないと他の奴に食われる」 「え? 他の奴って何?」 「ヴァンパイアは人間のフリして住んでるんだぞ? だから、夜は特に活発になるから危ないんだ」 「アナタも危ないんだけど?」 莉子がもっともな意見を述べると、ダークな月風は近づくとカプッと耳朶を甘噛してきた。
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