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一曲目
♪ シュワシュワ輝く、Eastern Pop
キラキラ落ちてく、Western Soda
まるで広い広い街並みのようにね
僕を握りつぶすのさ
That's just like lemon squash.
レモンとは俗語で役立たず、出来損ない、不良品……という意味がある。見た目はいいのに酸っぱくて食べられないからだそうだ。
当時音楽で燻っていた翔が、自虐的にでも前向きに作った歌詞が大好きだった。私がレモンスカッシュを注文したら翔が決まってサビを小さく口ずさむ、思い出の曲。
スクリーンには生前のライブ映像が投影される。荒い画質はすでに薄れ始めている思い出のように生々しくてまるでステージにショウが立っているみたいだった。
次の曲を待つあいだ、「まさか、この曲やるとは思わなかったね」と梨沙が耳打ちする。彼女は私と翔の関係を知っているので、この曲が特別な意味を持つこともわかっている。
「ほんと、やることがロマンティックなんだから」と私は涙目で頷いた。
「翔らしいねぇ。ほら、告白の時も……」
「街並みの路地裏で、さり気なく二人きりになってね。ドキドキしたなー!」
「ふふ。懐かしい」
こうやって思い出話に花を咲かせて笑い合うのは久しぶり。
君の秘めた想いに、先に気付いたのは私だった。
「俺から言おうと思ってたのに!」って、君は照れ臭そうに言ったよね。
その時も私、レモンスカッシュを飲んでいた。
照明が落ちる。
二曲目が始まる。
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