さいごのアレ

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 その後ミホちゃんはどんどんエスカレートして行って、一つ一つ僕のダメなところを列挙し始める。冷静に、丁寧に、詳細に。まるで猫が捕まえたネズミをいたぶるみたいに。  箸の上げ下げから始まり、好き嫌いが多いところ、一度だけミホちゃんと他の女の子の名前を呼び間違えたこと、勉強が苦手なところ、立ち居振る舞い、ひいては僕の存在そのものについて。  こうなると、ぼくは固まってしまって、ミホちゃんのグロスを塗ったつやつやとした唇が動くのを見つめる事しかできない。 「この前だって、マサト君朝寝坊してバイトに遅刻したでしょう?ああいうだらしないところが、わたしとの付き合いでも出ちゃってると思うんだよね」 「自分ではちゃんとしてるつもりなんでしょ?でも周りから見たら全然そんなことないんだからね。もうちょっと謙虚になってわたしのアドバイス聞いた方がいいよ」 「マサト君に今まで彼女がいなかったの、分かる気がするな。わたしと付き合えなかったら一生一人ぼっちだったかもね」
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