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ミホちゃんがあまりにも淡々としゃべり続けるから、だんだん頭がぼうっとしてきて、顔が熱でもあるみたいに熱くなってきて、ミホちゃんの口から静かに零れ落ちる言葉の一つ一つが意味をなさなくなってくる。でも聞いていないと思われたらまた怒られるので、ぼくは一生懸命頷きながら、ただ時が過ぎ去るのを待ち続ける。
あるいはもう少し機嫌のいい時にはミホちゃんはぼくにチャンスをくれる。
「わたしがなんで怒ってるのか当ててみて?」
そういう時、僕は慎重に慎重に言葉を選ばなくてはならない。
藪蛇にならないように。かといって余り的外れすぎるのもいけない。ちゃんとぼくがミホちゃんの一挙手一投足に気を配っていることがよく分かるように。懸命に頭を働かせるぼくを、ミホちゃんは薄笑いを浮かべて興味深そうに見つめる。ぼくの回答にいちいち「はい外れー」「ああ、惜しい」とからかうように言葉を投げかける。
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