4人が本棚に入れています
本棚に追加
2
「二宮くん。お疲れ様。プレゼン上手くいったわね」
「はい。ありがとうございます。佐倉先輩のおかげです」
「昼食どうする? あそこのショッピングモールの中のハンバーガーでいい?」
「はい。大丈夫です」
陽翔と美樹はショッピングモールに営業車を止めてショッピングモールの中のハンバーガーショップに向かった。
テリヤキバーガーセットを二つ注文して窓際の席に座った。
そのショッピングモールはいつの日か泉と映画を観にきた場所だった。
「さっ、食べよっか」
「プレゼンで先方に提出した桜のイラスト良かったわよ」
「二宮くんは桜好きなんだね」
「あの、、桜は嫌いです」
「そうなの? それじゃどうして?」
「桜を見てるとある人を思い出すんです」
「桜を嫌いって珍しいと思うんですけど僕にはある人を思い出して少しつらいんです、、」
「それじゃ、どうしてプレゼン用のイラスト、桜のイラストにしたの?」
「その、何て言うかその人を忘れないようようにっていうか、、その人が生きた証をこの世に遺したくて、、」
「そうだったんだね、、」
「ごめんね。つらいこと思い出させて、、」
「いえ。大丈夫です」
そう言うと陽翔は窓から見える景色を眺めていた。あの日も陽翔は映画を見終わるとこうして泉とハンバーガーショップでハンバーガーを二人で食べた。もう5年も前のことをつい昨日のことのように思い出していたー
やがて季節は流れて初夏がやって来た。
その日陽翔と泉が学校から帰っていると泉が満面の笑顔で陽翔に問いかけた。
「陽翔ぉ! 今度さ。ひよりと私達三人でどっか行かない!」
「良いよ。どこ行きたい?」
「陽翔の好きな所」
「う~ん。あのさ。桜木公園で天体観測しない?」
「天体観測!? 陽翔、天体望遠鏡持ってるの?」
「持ってるよ。小さなころ親に買ってもらったのいまだにもってるんだ」
「天体観測かぁ~いいね! 楽しみ!」
「何時から?」
「夜の7時でいいかな?」
「良いよ! それじゃ、ひよりにも伝えとくね」
「いつにする?」
「今度の日曜日の夜に待ち合わせでいい?」
「良いよ! それじゃ楽しみにしてるね!」
日曜日ー
陽翔は先に桜木公園に着いて天体望遠鏡のセッティングをしていた。
天体望遠鏡の鏡筒と三脚を繋ぎ対物レンズを星空に向けて接眼レンズを取り付けていた。
するとそこに泉とひよりがなかよさそうにやって来た。
「陽翔ーー!」
「ひよりも星とか好きなんだって!」
「私も星とか天体とか好きなんだ」
「なんか、ロマンを感じるっていうか、、」
「そうだな。宇宙はロマンだからな」
「今日は天気も良かったから沢山星が出てるね!」
「あっ。月が出てる」
「綺麗だねー」
「向こうの空に赤く見えるのが火星だよ」
「二人とも見てみて! 土星の輪っかが見えるから」
陽翔は望遠鏡のレンズをみながらピントを合わせていた。
「こうやってこの二つの穴のなかに見たい星を合わせると観測出来るんだ」
「わぁーすごーい。本当だ! 土星の輪っかが見える」
泉とひよりが交互に望遠鏡を覗いて歓声を上げていた。
「ねぇねぇ、陽翔も見てみて!」
「綺麗だね。土星。」
泉もひよりも初めて見る天体観測に興奮気味で満足そうだった。
陽翔は次々といろんな星たちを泉とひよりに見せてあげていた。
「陽翔はすごいねー 何でも出来るんだね」
「私。陽翔の意外な一面見た気がするなー」
「喜んでもらえてよかった」
陽翔は二人に優しく微笑んだ。
星空に精一杯の輝きを放って光り輝く星たちはどこか儚げで美しかった。
最初のコメントを投稿しよう!