1章 始まりは、お菓子の香り

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「「いらっしゃいませ!」」 「「はい。以上こちら8点で。」」 「「お持ち帰りのお時間はどのくらいですか?」」 「「2時間?」」 「「はい、では保冷材の最長時間が2時間までとなっておりますのでお早めに例倉庫にお入れください。」」 「「お待たせいたしました。ありがとうございます!」」 「「お誕生日?おめでとうございます!お誕生日プレートはお付けしますか?」」 「「はい……はい……」」 「「厨房さん、メッセージお願いしまーす!」」 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 店内では幾度となく同じ会話が繰り返され 行き交う人々の笑顔と人生のイベント、 お誕生日 結婚記念日 入学 卒業 お祝い返し 香典返し 悲喜が交錯して行く…… そんな町一番のパティスリー、『ガトー・エクラ』 そこが河北真白の職場だった。
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